政府は12月22日、現行の健康保険証を2024年12月2日に原則として廃止すると決めた。新しい健康保険証は発行をやめる。マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」に移行して効率的な医療につなげる。
ただ、2024年12月2日以降も、1年間は現行の保険証を使える経過措置期間を設ける。有効期限が先にくる場合は、それまでを利用期限とする。マイナカードを持っていない人も医療機関で保険診療を受けられるよう保険資格などを記した資格確認書を発行する。有効期間は国民の不安払拭のため、最長5年までを認める。申請がなくても届く仕組みとする。
ちなみにマイナ保険証の利用率は2023年10月時点でおよそ4.5%にとどまっている。
「介護」カテゴリーアーカイブ
ベトナムで24年から「特定技能」の試験実施 介護など
小泉龍司法相は12月22日、ベトナムで外国人労働者の在留資格「特定技能」の試験を実施すると発表した。技能試験は介護や農業分野で2024年3月中に、日本語試験は自動車整備分野で2024年5月以降で予定している。
出入国在留管理庁によると、2023年6月時点で「特定技能1号」の資格で在留する外国人はおよそ17万人いる。そのうち、ベトナム人は9万7,485人おり、最大の送り出し国となっている。
厚労省 介護サービス利用料引き上げ見送りへ固める
厚生労働省は介護サービス利用料の引き上げについて議論してきたが、物価高による高齢者への影響を慎重に検討する必要があるとして、引き上げについて見送る方針を固めた。近く与党と協議したうえで、正式に決定する。
現在、高齢者が介護サービスを受けた際に支払う利用料の自己負担の割合は原則1割で、年収が単身世帯で280万円以上の人は2割、340万円以上の人は3割と段階的に多く自己負担する仕組みになっている。
3年に1度見直される介護保険制度の議論の中で、厚労省は制度維持のために高齢者の自己負担増が必要だとして、現在1割負担している人の中から2割負担してもらう人を増やす案を検討していた。
介護報酬 24年度改定1.59%引き上げで最終調整
政府は、介護サービスの公示価格、介護報酬を2024年度から1.59%引き上げる方向で最終調整に入った。鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が近く折衝し、正式に決める見通し。
定期改定は3階連続の増額で、プラス幅は2009年度に次ぐ高い水準。介護事業の職員の賃金水準が他産業に比べ大幅に低いことや、物価高などによる事業者の経営悪化を考慮し、大幅な増額が必要と判断した。前回の2021年度改定では0.7%引き上げられている。
雇用保険適用拡大へ 1週10時間以上対象 厚労省が方針
厚生労働省は12月11日に開いた審議会で雇用保険の適用対象を1週間の労働時間で現状の20時間以上の人から、10時間以上にまで拡大する方針を示した。これにより、パートやアルバイトなど短時間勤務だ働く人たちも失業給付や育休の給付金などを受け取れる対象が広がることになる。対象者は最大でおよそ50万人増える見込み。
厚労省はこの適用拡大を2028年度中に始める予定で、年明けまでに具体的な制度設計を行い、2024年の通常国会で関連法案を提出する方針。
外国人 就労1年で転職可能案→自民党案で3年に逆戻り
外国人非熟練労働者の受け入れ資格の技能実習に代わる新制度案が混迷しそうな情勢となってきた。問題山積の技能実習制度による”負の経験”が、全く改善に生かされないところまで論議が戻りつつある。
政府の有識者会議は10月に、原則1年超で転職可能の報告書をまとめた。ところが12月12日、自民党の特別委員会で示された案は一転、3年間は特定の企業などで就労すべきだとする現行制度の内容に戻ってしまったのだ。政府の有識者会議で積み重ねられた議論は何だったのか?政府と自民党の間で政策調整が不全に陥っているのか?目先の党利党略で決められていい問題ではないはずだ。
認知症薬「レカネマブ」薬価承認 患者負担は数万円程度
中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月13日、エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を保険適用する薬価(薬の公示価格)を承認した。患者の体重によって投与量が変わるため価格は変わってくるが、体重が50kgの人の場合、年間費用は298万円になるため、実際の患者の負担額は数万円程度に抑えられる見込み。12月20日から保険適用される。
ただ、投与対象は認知症になる前の軽度認知障害者と早期の認知症患者に限られる。このため、認知症患者全体の1割未満といわれる。だから、すべての認知症患者とその家族にとって、両手を挙げて喜べるものではないことを念頭に置かなければならない。
訪問・通所複合型 介護新サービス創設見送り 厚労省
厚生労働省は2024年度の介護保険サービスの見直しを進める中で検討案件として挙げていた訪問と通所を組み合わせた新サービスの創設を見送る方針を決めた。厚労省の分科会で介護事業者側から「制度が複雑化するだけで、利用者のメリットはそれほど大きくない」など、導入に慎重な意見が多く、議論を続ける必要があると判断した。複合型の新サービスにより、デイサービスの職員が必要に応じて訪問介護にも従事することで、利用者の利便性につながるとみていた。
介護保険サービスは3年に1度、内容や報酬を見直している。2024年度は改定の年度にあたり、分科会でサービスの詳細について協議してきた。
金属労協 24年春季 過去最高のベア1万円以上要求方針決定
自動車や電機などの労働組合が加盟する金属労協は12月6日、2024年春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップで月1万円以上要求する方針を決めた。増額は2年連続で、要求額は過去最高水準だ。金属労協は自動車労連、電機連合、基幹労連、ものづくり産業労働組合JAM、全電線の5つの産別労組で構成し、組合員約200万人が加盟する労働団体。
貧困状態の子ども 先進43カ国で6,900万人以上 ユニセフが報告書
ユニセフ(国連児童基金)は12月6日、日本や欧米などの先進国の子どもの貧困が全体として減少しているものの、なお貧困状態にある子どもがいぜん6,900万人以上に上るとする報告書を公表した。これは、OECD(経済開発協力機構)やEU(欧州連合)に加盟している43カ国を対象に調べたもの。
2014年から2021年にかけて子どもの貧困率は全体でおよそ8%減少した。ただ、それでも2021年末時点でいぜんとして6,900万人を超える子どもが貧困状態にあると指摘している。
日本の子どもの貧困率は、2014年までの3年間の平均が18.2%だったが、2021年までの3年間の平均が14.8%に減少し、調査が行われた各国のうち8番目に改善が進んだとしている。